【2023年最新版】新築住宅購入で受けられる補助金・助成金・減税をご紹介!

【2023年最新版】新築住宅購入で受けられる補助金・助成金・減税をご紹介!

田尻 宏子

あこがれの新築住宅の購入。そのときにぜひ確認しておきたいのが補助金や減税(控除)といった制度です。しかし、これらは年度によって申込期限や方法、内容が変わる場合もあります。今回の記事では2023年に利用できる新築住宅購入を支えてくれる各種制度をご紹介します。申込期限や昨年度の変更点など、新築住宅購入の際に抑えておきたい重要なポイントをまとめていますので、ぜひご覧ください。

2023年に新築住宅購入時に使える制度とは

「新築住宅を購入したら、何か優遇があるらしい」という話を聞いたことがある方は多いでしょう。まずは新築購入時の優遇の種類について確認しておきましょう。

【補助金・助成金】

  • こどもエコすまい支援事業
  • ZEH補助金
  • 地域型住宅グリーン化事業補助金
  • LCCM住宅整備推進事業
  • 自治体の補助金・助成金

【税制優遇】

  • 住宅ローン減税
  • 住宅取得等資金贈与の非課税特例
  • 認定住宅の所得税の特別控除

それぞれの詳細については後ほどご紹介します。

ちなみに補助金、助成金、税制優遇の違いは以下のとおりです。こちらも押さえておきましょう。

補助金 国や地方公共団体から支給される。支給を希望する場合は申請・審査が必要。予算が決まっている場合が多いため、審査に通らない、もしくは予算が終了したら支給されない。
助成金 国や地方公共団体から支給される。支給を希望する場合は申請・審査が必要。要件を満たせば支給される可能性が高い。
税制優遇 条件を満たした場合、税金を少なくする制度

新築住宅購入でもらえるお金がある?補助金・助成金について

新築を購入した場合、受け取れる補助金・助成金には次のようなものがあります。

新築を購入した場合に受け取れる補助金・助成金

こどもエコすまい支援事業

こどもエコすまい支援事業とは子育て世帯(※1)や若者夫婦世帯(※2)が条件に合致した注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入をした際に100万円の補助金が受け取れるというものです。リフォームの場合は全世帯が対象となり、補助金は上限30万円となります。

※1 子育て世帯:申請時点において、2022年4月1日時点で18歳未満の子供がいる世帯(2023年3月31までに建築着工する分については、2021年4月1日時点で18歳未満であることが条件)
※2 若者夫婦世帯:申請時点で夫婦であり、2022年4月1日時点で夫婦のうちどちらかが39歳以下の世帯(2023年3月31日までに建築着工する分については、2021年4月1日時点で夫婦であることが条件)

補助金の詳細は次のとおりです。

交付申請期間 2023年3月下旬~予算の上限に達するまで
(最終期限2023年12月31日)
対象工事の着手期間 2022年11月8日以降
新築の場合の対象住宅 ZEH住宅
(強化外皮基準かつ再エネを除く一次エネルギー消費量マイナス20%に適合するもの)
※住宅の延べ面積50㎡以上
リフォームの場合の対象住宅 ①住宅の省エネ改修
②住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等
(①の工事を行った場合に限る)
補助金額 新築の場合:100万円
リフォームの場合:上限30万円(※)
※子育て世帯・若者夫婦世帯の場合は上限45万円(既存住宅購入を伴う場合は上限60万円)

出典:「こどもエコすまい支援事業の概要」(国土交通省)の情報をもとに作成

申請は住宅建築・販売業者やリフォーム業者が行います。条件に合った住宅の購入を検討するのであれば、業者が「こどもエコすまい支援事業者」なのかを確認しておくと良いでしょう。

ZEH補助金

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅とは、太陽光発電等でエネルギーを生み出す、断熱性能を高めるなどの省エネをすることで、消費エネルギー量を実質的にゼロにする住宅のことです。このZEH住宅(新築)を建築・購入した際に受けられるのが「ZEH補助金」および「ZEH+補助金」です。補助金の詳細を確認しましょう。

補助金額(※3) 支給条件
ZEH補助金 55万円 ①ZEHロードマップにおける『ZEH』の定義を満たしていること
②SIIに登録されているZEHビルダー/プランナーが関与(設計、建築又は販売)する住宅であること
ZEH+補助金 100万円 ①ZEHロードマップにおける『ZEH』の定義を満たしており、以下の条件も満たしていること
一.省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減 二.以下の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上を導入すること 1.外皮性能の更なる強化 2.高度エネルギーマネジメント 3.電気自動車(PHV車を含む)を活用した自家消費の拡大措置のための充電設備又は充放電設備 ②SIIに登録されているZEHビルダー/プランナーが関与(設計、建築又は販売)する住宅であること

※3 蓄電システム(定置型)を導入するのであれば、2万円/kWh、蓄電システム、補助対象経費の3分の1または20万円のいずれか低い金額が加算

出典:「2023年の経済産業省と環境省のZEH補助金について」(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)の情報をもとに作成

ZEHについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
「サステナブル住宅とはどんな家?ZEHを例に特徴や補助金を紹介」

地域型住宅グリーン化事業補助金

こちらは2023年度分の詳細が発表されていませんので、2022年度のものでご紹介します。

地域型住宅グリーン化事業補助金は住宅の購入者ではなく、省エネや耐久性に優れた「木造住宅」を建築した事業者に支払われる補助金です。購入者は間接的に補助を受けることになります。なお、補助金を受けたい事業者は、事前に国土交通省の採択を受けておく必要があります。この補助金が気になる方は住宅購入前に採択を受けた事業者なのかを確認しておくと良いでしょう。

対象となる住宅の種類と補助額は以下のとおりです。

住宅の種類 補助額(上限額)
認定長期優良住宅 140万円/戸
ZEH・Nearly ZEH 140万円/戸
ZEH Oriented 90万円/戸
認定低炭素住宅 90万円/戸

出典:「令和4年度地域型住宅グリーン化事業 グループ募集の開始」より「1.支援対象となる木造住宅の種類と上限額」(国土交通省)

2021年度は改修も対象になっていましたが、2022年度は新築のみが対象となりました。

LCCM住宅整備推進事業

住んでいる間だけではなく、建設・解体時の省CO2をも目指すのがLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅です。ZEH住宅を超えるエコ住宅として注目を集めています。

LCCM住宅を新築した場合、1戸につき上限140万円で補助金が支払われるのが「LCCM住宅整備推進事業」です。補助金申請は事業者が行い、支払われた補助金は事業者から住宅を建築した人に還元されます。LCCM住宅建築を検討する際は、建築事業者にこの補助金について確認してみることをお勧めします。(※4)
LCCM住宅建築を検討する際は、建築事業者にこの補助金について確認してみることをお勧めします。

※4:「LCCM住宅整備推進事業 概要」(LCCM住宅整備推進事業実施支援室)

国の補助金・助成金等についてはこちらの記事でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
「期間限定!予算が尽きるまで!国の補助金、給付金、支援制度 VOL.1」
「期間限定!予算が尽きるまで!国の補助金、給付金、支援制度 VOL.2」

自治体の補助金・助成金

ここまでご紹介したのは、国が主体となっている補助金・助成金制度でしたが、自治体独自のものもあります。例として、CO₂排出実質ゼロに貢献するためにスタートした東京都の「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」の詳細をご紹介します。こちらも2023年度分の詳細が発表されていませんので、2022年度のものでご紹介します。

助成金額は性能値水準によって以下のように異なります。

住宅の種類 水準 金額
戸建て住宅 1 30万円
2 50万円
3 210万円
集合住宅等 1 20万円
2 40万円
3 170万円

出典:「東京ゼロエミ住宅導入促進事業実施要綱」よりP3「3 助成金額」(東京都地球温暖化防止活動推進センター)から引用

2021年度は改修も対象になっていましたが、2022年度は新築のみが対象となりました。

性能値の水準

水準1 水準2 水準3
外皮平均熱貫流率
(単位:W/㎡K)
0.70
以下
0.60
以下
0.46
以下
国が定める省エネルギー基準からの削減率(再エネ除く) 30%
以上
35%
以上
40%
以上

出典:「『東京ゼロエミ住宅』基準(性能規定の基準)について(概要)」よりP1「<性能値>」(東京都公式ホームページ)から引用

自治体によって補助金・助成金の種類は異なりますので、まずは自治体ホームページ等で情報をチェックしてみましょう。

こちらも住宅に関する補助金やお得な制度に関する記事です。ぜひ参考にしてください。
「探せば出てくる!お得な制度 自治体が行う 住宅に関するお得な制度」

新築住宅購入時に覚えておきたい減税・控除等の税制優遇

新築住宅を購入すると各種補助金・助成金が利用できる場合がありますが、税制優遇についても忘れてはいけません。節税のためにも把握しておきたい税制優遇制度についてご紹介します。

新築住宅を購入する場合に利用できる税制優遇制度

住宅ローン減税

住宅ローンを利用して住宅を新築・取得・改修した場合、住宅ローンの年末残高から計算した一定額が、所得税額から控除されるという制度です。2023年度の新築建築・購入した場合の控除の内容は以下のとおりです。

控除期間 13年
控除率 全期間一律0.7%
所得要件 合計所得金額2,000万円以下
床面積 50㎡以上

出典:「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(国税庁)の情報をもとに作成

以前は控除期間10年で控除率が1.0%でしたが、2022年からは上記の条件に変更されています。ただし、コロナ緊急経済対策の「特例取得」、ポストコロナ緊急経済対策の「特別特例取得」の場合は、控除期間13年、控除率1.0%でした。(2022年12月31日までの措置です。)(※5)

また、住宅の種類ごとの借入限度額は以下のようになっています。

住宅の種類 借入限度額
認定長期優良住宅
低炭素建築物
低炭素建築物とみなされる特定建築物
5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円
一般新築住宅 3,000万円

出典:「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(国税庁)

現時点では上記のようになっていますが、2024年度以降は借入限度額が下げられ、一般新築住宅の控除期間が10年に変更になる予定です。

なお、住宅ローンを使って中古住宅を購入する場合も住宅ローン減税の対象(※6)となりますが、控除期間は10年、控除率は0.7%です。借入限度額も以下のとおり新築時よりも少なくなります。

住宅の種類 借入限度額
認定長期優良住宅
低炭素建築物
低炭素建築物とみなされる特定建築物
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円
一般中古住宅 2,000万円

出典:「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(国税庁)

※5:「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」(国税庁)
※6:「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(国税庁)

住宅取得等資金贈与の非課税特例

2023年12月31日までの間に、直系尊属(父母、祖父母)などから住宅用家屋の新築、取得、増改築のための金銭を贈与された場合、一定額までが非課税になる制度です。詳細は次のとおりとなっています。

所得条件 受贈者の合計所得金額が2,000万円以下
住宅の条件 50㎡以上
(合計所得金額1,000万円以下の場合は40㎡以上50㎡未満でも可)
非課税限度額 省エネ住宅等:1,000万円
それ以外の住宅:500万円
その他 中古住宅の場合は1982年以降に建築された新耐震基準適合住宅であること

出典:「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(国税庁)の情報をもとに作成
出典:「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」(国土交通省)の情報をもとに作成

認定住宅の所得税の特別控除

住宅ローンを利用せずに認定長期優良住宅などの「認定住宅」を建築・購入するのであれば「認定住宅の所得税の特別控除」(※7)が利用できます。認定住宅の基準に適合するためにかかる標準的な金額の10%に相当する金額を、その年の所得税額から控除できるというものです。利用には以下のような条件がありますので、必ず確認しましょう。

認定住宅の所得税の特別控除

※7:「No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)」(国税庁)

新築住宅購入だからこそ使える減税措置

住宅ローン減税などは新築購入、中古購入どちらでも使える制度です。しかし、新築だからこそ使える減税措置もあるので押さえておきましょう。

・不動産取得税
2024年3月31日まで、通常4%の不動産取得税率が3%に軽減されます。

・固定資産税
2024年3月31日まで、新築住宅にかかる固定資産税が3年間(マンション等の場合は5年間)、2分の1に軽減されます。

・登録免許税
2024年3月31日までの間に新築住宅を取得し居住する場合、通常0.4%の登録免許税率が0.15%に軽減されます。なお、認定住宅の場合は0.1%に軽減されます。

住宅購入時の税制等についてはぜひこちらもご覧ください。
「おうちを買う前に知っておきたい!「住宅購入や住居に関する税制・法律・手続き」第5回」

どの制度を使うか迷ったら?

新築住宅を建築、購入した際に使える補助金、助成金、税制優遇は多く存在します。そのため、何が使えるのかが分からないという方もいることでしょう。そのような場合は、自分がクリアしている条件を整理するところから始めてみてください。例えば、「ZEH住宅を建てる予定」「18歳未満の子供がいる」ということであれば、「こどもエコすまい支援事業」の対象になるといった具合です。補助金等の中でも特に多いのが、立地や省エネ対策の分野ですので、重点的にチェックしてみましょう。

自分がクリアしている条件を整理する

ただ、補助金や税制優遇については、申請が通るまでにかなり時間がかかる場合もあるため、時間に余裕を持ってスケジュールを組むことをお勧めします。

また、新築住宅購入の際は補助金、税制優遇の確認も重要ですが、団体信用生命保険での備えのことも忘れてはなりません。団信とは団体信用生命保険のことで、住宅ローン契約者に万一のことが起きた際に、保険会社が住宅ローン残高を保障してくれる制度です。現在、ほぼすべての住宅ローンが団体信用生命保険加入必須となっています。補助金、税制優遇のチェックはもちろん、自分の健康に問題がないかも確認してから住宅購入に進みましょう。

団信について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
「団体信用生命保険(団信)とは?保障内容から保険料、注意点まで徹底解説」

新築住宅購入を検討する際は補助金・税制優遇も忘れずにチェック!

新築住宅、中古住宅、どちらを購入しようか迷っているという方は多いでしょう。中には予算の関係から中古住宅を選択しようかと思っている方もいるかもしれません。

しかし、新築で最新式の省エネ設備を備え、断熱性、耐久性に優れた住宅を選択すれば、「こどもエコすまい支援事業」(改修の際も利用できますが、新築と比較すると補助金額が下がります)「ZEH補助金」などの補助金が受けられます。

また、住宅ローン減税でも「長期優良住宅」「ZEH住宅」などであれば、一般の住宅購入時よりも減税額が多くなります。多くの補助金、税制優遇の面も含めて、どのような住宅を購入するかを検討してください。

なお、住宅関連の補助金、税制優遇は数多くあるため「自分は何を使えるのか分からない」という方は、今回の記事を参考にしながら、ハウスメーカーや住宅ローンを契約する金融機関に相談してみましょう。

公開日:2023年05月30日

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田尻 宏子

2016年からライター活動を開始。金融機関ホームページ、お金の情報サイトでローン、投資、保険などマネー系記事の執筆を数多く手掛ける。分かりやすく、役に立つ記事を書くことがモットー。2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員1種資格保有。

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