サステナブル住宅とはどんな家?ZEHを例に特徴や補助金を紹介

本間貴志

これからの家づくりのキーワードとなりそうな「サステナブル住宅」。
この記事では、サステナブル住宅が注目されている理由、一般住宅との違い、割高なコストをどう考えるかなどについてわかりやすく解説します。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の補助金についても紹介しますので、「サステナブル住宅」が気になっている方は参考にしてみてください。

サステナブル住宅の効果とは?SDGsとは?

「最近、サステナブルという言葉をよく見聞きする」という人も多いのではないでしょうか。サステナブルとは「持続可能な」という意味です。
つまり、「サステナブル住宅」とは「持続可能な(発展に役立つ)住宅」ということです。これをもっと身近な言葉にすると、「人・社会・地球にやさしい家」と表現できます。

昨今「サステナブル住宅を選びたい」という方が増えてきた背景には、SDGs(持続可能な開発目標)の広まりが深く関わっています。
SDGs(※1)は、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール(大きな目標)と169のターゲット(具体的な目標)で構成されています。

たとえばSDGsの取り組みとして、食品ロスをなくす、再生可能エネルギーを使う、リサイクルに協力するなどがあります。「サステナブル住宅を選ぶ」というのもSDGsの取り組みの1つです。
サステナブル住宅を選んだときのメリットには、次の3つがあります。

  • 地球や地域の環境への負荷を削減できる
  • 光熱費を節約できる
  • 健康的な生活がしやすくなる

なぜこのようなメリットが得られるのか、サステナブル住宅の具体的な特徴をもとに次項で詳しくご紹介していきます。

※1 「SDGsとは?」(外務省)

サステナブル住宅の具体的な3つの特徴について、ZEHを例にご紹介

サステナブル住宅には「このような構造や機能の家」という決まりはありません。しかし、国が推奨している省エネ住宅や各ハウスメーカーの提案するサステナブル住宅の一例として「ZEH(ゼッチ)」が挙げられます。

ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

引用:「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について – 省エネ住宅」(経済産業省 資源エネルギー庁)

簡単に言うと、使うエネルギーを減らし、作るエネルギーを増やすことで「年間エネルギー消費量の収支ゼロ」を目指した住宅のことです。

家のイメージ図

出典: 「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について – 省エネ住宅」(経済産業省 資源エネルギー庁)をもとに作成

具体的には以下3つの特徴があります。

特徴1. 太陽光発電と蓄電システム

サステナブル住宅の場合、太陽光発電システムは必須の設備です。なぜなら電力会社から購入する電気は、その大半がCO2排出量の多い化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)で作られたものだからです。2018年時点の日本のエネルギー供給源は約85%を化石燃料に頼っている(※2)のが現実です。

太陽光発電システムを屋根に取り付けていれば、そこで生み出した電気を自宅で使ったり、電力会社に売ったりすることで光熱費を節約しながらCO2削減に貢献できます。あわせて蓄電システムを設置すると、昼間作った電気を貯めておいて夜間に使えるので、さらに節約できます。

※2 「日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」」(経済産業省 資源エネルギー庁)

特徴2. 高断熱の窓と壁

住宅の窓と壁からは冷房や暖房などのエネルギーがたくさん逃げます。この窓と壁に高断熱の材料を採用することで、室内の空気が逃げにくくなり太陽光発電で作った電気をムダなく使えます。

また、窓と壁を高断熱にすると健康にも良い影響があります。実際に、リフォームで断熱性を改善したところ、起床時の最高血圧が平均3.5mmHg下がったなどの健康への影響が実証されています。(※3)

※3 「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」(一般社団法人 日本サステナブル建築協会)

特徴3. 高効率な空調・照明・給湯など

室内で使う空調・照明・給湯などを効率的な設備にすることでエネルギーを有効活用できます。
たとえば消費電力が少ないエアコンや、省エネ性能の高いLED照明、少ないガスで効率よくお湯を沸かす給湯器などです。

このほかに、サステナブル住宅の特徴としては「地場産の木材を積極的に利用する」「EVバッテリーを設置する」「雨水貯水の設備を置く」などがあります。

サステナブル住宅のデメリットは高コスト

サステナブル住宅のデメリットは「一般住宅よりも高コスト」という点です。しかし、長期的な視点で考えると、必ずしも高コストとは言えません。そのためサステナブル住宅を検討するときは、「購入時のコスト」と「長期的に見たコスト」を比べて判断することをお勧めします。

では実際に、サステナブル住宅を採用するとどれくらいコストが割高になるのでしょうか。
ここでは北海道と東京を例にコストを算出してみます。

寒冷地である札幌では17年で黒字に

まず、サステナブル住宅化による光熱費削減効果の高い寒冷地、北海道札幌市での試算を見てみましょう。

札幌市は、2階建て4LDKの住宅を一般的な省エネ住宅からZEHにする場合の費用対効果を算出しています。その試算によると、初期投資は約465万円かかります。一方、光熱費は年間28万7991円削減可能です。(※4)

※実際の光熱費を保証するものではありません。

初期投資の約465万円を光熱費の年間削減額28万7991円で割ると、17年で費用回収ができるという結果になりました。

札幌

※4 「ZEHの光熱費の試算根拠について」(札幌市)

東京では毎月約3400円の支出でZEHが手に入る

では、寒冷地以外ではどうでしょうか。東京でのコストを試算してみます。

前述の札幌市による試算結果と住宅生産団体連合会の資料を元に計算すると、2階建て4LDKの住宅を省エネ住宅から札幌市の基準に基づくZEHにしたときに、東京では年間14万5217円の削減が可能です(※5)。

東京でも初期投資金額は札幌市と変わらないものとして、初期投資の約465万円を光熱費の年間削減額14万5217円で割ります。すると、33年で初期投資金額の費用回収ができることになります。

ただし太陽光発電システムは、経年劣化していきます。メーカーはそれぞれ出力保証を行っていますが、概ね長くて25年ほどのようです。
仮に25年間は毎年14万5217円の光熱費削減ができるとすると、14万5217円×25年=363万422円。初期投資の465万円を引くと、約102万円の支出となります。

少々高く感じるかもしれませんが、25年で割ると年間約4万円。毎月約3400円のコストで、環境にも優しく健康にも良い住宅が手に入ると思えば、お得に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

東京

※5 「なるほど省エネ住宅」(一般社団法人 住宅生産団体連合会)
P12 札幌市における一般的な省エネ住宅からZEH基準相当の住宅にした際の光熱費削減額と、札幌市の試算による光熱費削減額の比率を計算し、東京での光熱費差額6万2955円に乗じた場合

ZEHの補助金などでサステナブル住宅のコストを調整できる

ZEHがサステナブル住宅の購入コストに関係がある理由としては、ZEHの基準を満たした住宅には補助金制度が設けられているからです。
ZEH補助金の対象となる条件や金額などについては以下のとおりです。

ZEH補助金は、ZEHを管理する環境共創イニシアチブ(以下、SII)の登録ZEHビルダー(建設会社)もしくはプランナー(設計事務者)が関わった住宅でないと対象にならないため注意してください。

【条件】

  • ZEHロードマップにおける「ZEH」の定義を満たしていること
  • SIIの登録ZEHビルダー/プランナーが関わった住宅であること

 

【補助額】
1戸あたり60万円

  • 蓄電システム(定置型)を導入する場合は加算あり
  • 省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減が可能などの追加条件を満たせば1戸あたり105万円

出典:「2021年の経済産業省と環境省のZEH補助金について」(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)

※2021年現在の情報です。今後変更になる可能性があります。

このほか、サステナブル住宅の購入コストを抑えられる可能性のあるしくみには、省エネ性能に対する補助金や特典、自治体ごとの補助金もあります。サステナブル住宅を取り扱う業者であれば資料や情報を持っていることも多いので確認してみましょう。

また、購入した住宅が「低炭素住宅」「長期優良住宅」に認定されたものであれば、住宅ローン控除の減税枠が拡大したり(※6)、所得税が控除できたり(※7)する可能性もありますので、あわせてチェックしてみてください。

※6 「住宅ローン減税等の税制拡充について | 住宅ローン減税制度の概要」(すまい給付金事務局)
※7 「No.1221 認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)」(国税庁)

サステナブル住宅を選ぶ前にメンテナンスコストも確認

ここまで、サステナブル住宅とはどんな家なのか、そして割高な購入コストをどう考えるかについてお話ししてきました。

サステナブル住宅は、「人・社会・地球にやさしい家」です。高機能な設備を導入する分購入コストはかさみますが、長期的な光熱費の節約や補助金などでコストを吸収・緩和できます。

サステナブル住宅のさらなる魅力としては、太陽光発電システムや省エネ性能などの付加価値があるため資産価値が高いという点が挙げられます。
一方、この付加価値を維持し続けるには、各設備をしっかりメンテナンスしていくことが大事です。将来、「メンテナンスにこんなにお金がかかると思わなかった!」とならないように、メンテナンスコストの目安も業者に確認したうえで契約するのが安全です。

最終的にサステナブル住宅を選ぶかどうかは、「現時点のコスト重視か」「数十年単位のコスト重視か」もしくは「コストに関係なく環境への影響を重視するか」で判断が分かれると思います。また、サステナブル住宅を選んでも選ばなくても、SDGsを意識した生活が求められています。世界共通の国際目標である2030年に向けて、1人1人ができることを実行していきましょう。

公開日:2021年08月24日

本間貴志

不動産やESG/SDGsなどが専門の編集ライター。ビジネス書の編集会社「アスラン編集スタジオ」勤務を経て2015年よりフリー。現在、複数の上場企業のWebメディアでレギュラーライターを担当。「難しいことがキライ」「住まいの専門知識があまりない」という方でもスムーズにわかるコンテンツをお届けします。

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