住宅購入で知っておくべき優遇制度 第3回 

住宅購入で知っておくべき優遇制度 第3回 

新屋 真摘

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住宅ローン減税を受けるための手続き

所得税の確定申告

住宅ローン減税を受ける初年度は会社員、自営業にかかわらず、所得税の確定申告が必要です。確定申告は住宅を購入した翌年の2月16日から3月15日までに行います(暦の関係で若干ずれる年があります)。申告に必要な書類は下記です。

・住民票の写し
・登記簿謄本
・不動産売買契約書(住宅購入時に不動産会社が発行)
・源泉徴収票(勤務先が配布)
・住宅取得資金に係る借入金の融資額残高証明書(住宅ローンを組んだ金融機関が発行)
など

それぞれの書類の入手先や手に入る時期が異なるので、申告するときになって慌てないよう、早めに必要書類を確認して揃えることをおすすめします。手続きが不明な場合は、確定申告専用の問い合わせダイヤルなども活用するとよいでしょう。

会社員は勤務先の年末調整で手続きを

会社員は、住宅を購入した2年目から勤務先の年末調整で住宅ローン減税の手続きをすれば、還付を受けられるようになっています。その際、提出すべき書類は下記です。

・「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」(住宅ローンを組んだ金融機関が発行)
・「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」及び「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」(初年度に確定申告すると税務署から発行)

住民税から還付を受ける人も、所得税の確定申告や年末調整をすれば、自動的に住民税が再計算される仕組みになっています。

自分が負担している税額を把握し、住宅ローンのプランニングはしっかりと

記録的低金利が続く中、金利1%以下で住宅ローンを借りられる状況が続いています。住宅ローン残高の1%が戻ってくる住宅ローン減税の効果を考えると、当初の10年または13年は実質金利負担なしで住宅ローンを借りられることになります。そのため、頭金を減らして借入額を増やし、いったん手元に現金を残したり、繰り上げ返済は控除期間が終わるまで保留にしてみたり、と考える人もいるようです。このように考えること自体は合理的なのですが、金利の環境はいつ変わるとも限りません。くれぐれも借りすぎには注意しましょう。特に変動金利で借りている人は急な金利上昇で返済額がアップするとも限らないので、いざというときは手元資金で一部繰り上げもできるよう、返済予定のお金を他で使ってしまわずに必ず別に管理しておきましょう。

また、住宅ローン減税は自分が負担すべき税金の一部が戻ってくる制度です。そもそも支払っている税金が少なければ、その効果を最大限活かすことはできません。給与から税金が天引きされている会社員は、自分が年間いくら税金を負担しているのか意外と知らないものです。毎年12月頃に勤務先から配布される源泉徴収票を見ると、その年に負担している所得税の金額がわかります。まずは自分が負担している税額を把握し、住宅ローン減税の効果が最大でどの程度出るのかを踏まえて、いくら借りるべきか、もし夫婦別々に借りるならばその割合はいくらずつにすべきかなど、借り入れプランを練るとよいでしょう。

公開日:2019年08月01日

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新屋 真摘

ファイナンシャルプランナー(CFP 認定者)、ガイア株式会社所属。http://www.gaiainc.jp/ 大手生命保険会社を経て「正しいマネーセンスを身につけてお金に振り回されない人生を送ってもらうためのお手伝いがしたい」という想いからファイナンシャルプランナーを目指す。2005 年に独立系FP オフィスを設立。 2014 年にガイア株式会社へ。 『一番トクする 住宅ローンがわかる本』(成美堂出版)、『やさしい保険の本』(オレンジページ)、『ママと子どものお金の話』(サンクチュアリ出版)、『シンプルにお金を貯める・増やす・使う。』(クロスメディア・パブリッシング)、『マンガと図解でラクラクわかる はじめての資産運用』(成美堂出版)など著書・監修多数。

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