団信に入れない病気がある?高血圧や精神的な病気は?具体例や対処法を解説

「持病があると、団信には入れないの?」
多くの金融機関で住宅ローンの借り入れ条件の1つになっている、団体信用生命保険(通称「団信」)。
持病や病歴があると、加入できるのか不安になりますよね。

持病や病歴があっても団信に加入できるかは一概には言えず、治療歴や検査時の数値など複数の要素で総合的に判断されます。
そこで、この記事では団信に入れない可能性が高い事例をまとめました。

また、団信に入れない場合に住宅ローンを組む対処法も解説していますので、団信加入について不安がある方はあわせて参考にしてください。

団体信用生命保険に入れない場合や病気とは

団体信用生命保険(以下「団信」)に入れない主な理由は、年齢か健康面です。

【年齢】
一般的な加入年齢の目安は満20歳~65歳未満。保険会社により異なる。

【健康】
各保険会社の審査に通らなければ入れない。保険会社により引受基準は異なり、非公開。

いずれも保険会社の規定によって異なり、健康面については「この状態なら入れる」という明確な基準はありません。
まずは年齢条件をクリアできているか見たうえで、自身の健康状態を確認しましょう。

年齢制限についての詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
団体信用生命保険の加入条件に年齢制限はあるの?特約付きの場合は?

健康面の引受基準は各社によって異なるものの、一般的に以下の状況にある方は入れない可能性が高い傾向にあります。

【団信に入れない可能性が高い健康状態】

  • 現在病気の治療中で入院・手術を控えている、またはすでに入院中である
  • 告知書に記載されている傷病や障害(がん、脳卒中、精神疾患など)で治療中
  • 再検査や精密検査などを指摘されているにもかかわらず、病院に行っていない

ただし、上記の健康状態に該当していると絶対に団信に入れないわけではありません。
病気の状態が軽度であったり、病歴が10年以上前であったりするなど、状況によっては加入できる方もいます。
まずはありのままの健康状態・傷病歴を告知して審査を受けることが大切です。

団信の告知で申告する必要がある病気

団信の告知書は保険会社によって形式が異なりますが、一般的には以下の病気で申告が必要になっています。

心臓・血圧 高血圧症、不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全など
脳・精神・神経 脳卒中、精神病、うつ病、神経症、てんかん、自律神経失調症、アルコール依存症など
胃腸 胃かいよう、十二指腸かいよう、かいよう性大腸炎、クローン病など
肝臓・膵臓 肝機能障害、肝炎、肝硬変、すい炎など
腎臓 腎炎、ネフローゼ、腎不全、のう胞腎など
内分泌・代謝異常 糖尿病、甲状腺の病気、脂質異常症など
緑内障、網膜の病気、角膜の病気など
がん ポリープ、上皮内新生物、がん、肉腫、白血病、しゅよう、悪性リンパ腫など
その他 リウマチ、こうげん病、貧血症、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣のう腫など

※上記の病気はあくまで一例で、保険会社によって異なります。

カーディフ生命の特約付団体信用生命保険の告知書記入例も参考までにご覧ください。

※告知書は引受保険会社や特約の有無などにより異なります。

告知にあたっての注意事項と記入例

がんや脳卒中、心臓の病気、糖尿病といった生活習慣病もすべて告知が必要です。
男性に多い胃潰瘍や、女性に多い子宮筋腫や貧血症といった病気も例外ではありません。
たとえ軽微な状態であったり、現在は完治している状態であっても、該当する病気があれば必ず告知書に記載するようにしましょう。

団信の告知・審査で気をつけるポイントは以下の記事でご案内しています。こちらも参考にしてみてください。
団信の告知や審査で気をつけるポイントは?告知書の記入方法も解説!

こんな病気や症状でも団信に入れないの?身近な病気の事例を紹介

「告知書で病気について申告をすると、団信に入れなくなるかも」と不安に思うかもしれません。
しかし、告知書で詳細を記載しなければならないような治療歴などがあっても団信に入れる場合もあります。告知事項があるかどうかだけで、保険会社の審査結果が決まるわけではありません。

ここでは、筆者の体験やカーディフ生命の実績をもとに、高血圧やうつ病といった身近な病気を申告した際の事例を紹介します。
実際に団信に入れるかどうかは一人一人の告知事項によって異なりますが、参考までにご覧ください。

高血圧の場合

現在日本では、高血圧性疾患の患者数は約1,000万人近くいるとされています。(※1)
治療を受けておらず、血圧が高めという方も含めればより多くの患者がいるでしょう。
それほど身近な高血圧ですが、程度によっては加入できる可能性があります。

国立循環器病研究センターによると、高血圧症はその程度によって分類されます。

分類 診察室血圧(mmHg) 家庭血圧(mmHg)
収縮期血圧   拡張期血圧 収縮期血圧   拡張期血圧
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ <75
正常高値血圧 120~129 かつ <80 115~124 かつ <75
高値血圧 130~139 かつ
または
80~89 125~134 かつ
または
75~84
I度高血圧 140~159 かつ
または
90~99 135~144 かつ
または
85~89
II度高血圧 160~179 かつ
または
100~109 145~159 かつ
または
90~99
III度高血圧 ≧180 かつ
または
≧110 ≧160 かつ
または
≧100
(孤立性)
収縮期高血圧
≧140 かつ <90 ≧135 かつ <85

出典: 「高血圧治療ガイドライン・エッセンス」(公益財団法人 日本心臓財団)

血圧が低いⅠ度であったり、降圧薬による治療で血圧が抑えられていたり、比較的軽度な症状であれば団信に加入できる可能性は高くなるでしょう。

もちろん、一口に「高血圧症Ⅰ度」といっても治療年数や年齢など、他の告知内容によっては加入できないことも考えられます。
繰り返しではありますが、告知の結果は一人一人異なります。大切なのは、治療の詳細を詳しく記載することです。
適正な審査を受けるためにも、病院で確認した治療歴を詳しく告知するようにしましょう。

※1 「平成29年(2017)患者調査の概況」(厚生労働省)

うつ病や適応障害など精神的な病気の場合

うつ病を含む精神的な病気の患者数は、今や400万人を超えていて、高血圧と同じく身近な病気になってきています。

精神疾患を有する患者数の推移

出典: 「患者調査」(厚生労働省)を元に集計・加工して表作成

精神的な病気があると、団信に加入できないと思う方は少なくありません。
しかし、うつ病や適応障害といった精神的な病気の場合でも、病状によっては加入できる可能性があります。

実際、カーディフ生命ではうつ病の方を一般団信で引き受けした事例があります。
もちろん、うつ病の程度やその他の健康状態・告知の状況によって結果は違うため、絶対に入れるとは断言できません。

ただ、引受事例があることからも、うつ病というだけで諦めるのはもったいないです。
実際に加入できたお客さまもいらっしゃるため、住宅購入を諦めるのではなく、ありのままを告知することが大切です。

団信に入れない可能性が高そうなときの対処法は5つ

健康状態によって団信に入れない可能性が高くても、住宅ローンを組むことは可能です。
ここでは団信に入れない可能性が高そうなときの対処法を5つ、紹介していきます。

団信に入れない可能性が高そうなときの対処法

1.特約は付けず一般団信で申し込む

がん保障や三大疾病保障といった疾病保障特約を付帯すると、告知項目が多くなり、審査も厳しくなる傾向にあります。
特に、過去にがんや三大疾病での治療経験がある方は、これらの疾病保障特約を付けると審査に通らない可能性が高くなるでしょう。
そのため、もし特約付きの団信で審査に通らなかった場合は、特約を外し、死亡・高度障害時保障のみの一般団信で申し込むのも一つの方法です。

2.ワイド団信を検討する

特約付団信、そして一般団信でも審査に通らなかった場合は、ワイド団信を検討しましょう。
ワイド団信とは、一般の団信より引受基準が緩和された団信です。
カーディフ生命では、以下のような病気の場合でも、ワイド団信であれば引き受けとなった実績があります。

  • IgA腎症やネフローゼなどの慢性的な腎臓の病気
  • 慢性B型肝炎、慢性C型肝炎
  • クローン病
  • 手術後良好な心筋梗塞・狭心症
  • 回復後良好な脳梗塞・脳出血などの脳血管の病気

上記はあくまで一例であり、記載されている病気以外でもワイド団信に加入できるケースはあります。逆に、上記の病気に該当していても、告知の内容や治療状況等によっては審査に通らない場合もあります。
審査の際には、詳しい告知や検査書類・所定の診断書等が必要な場合があるため、必ず保険会社に確認するようにしましょう。

一般的にはワイド団信は一般団信に比べて告知項目が簡素化されていて、健康状態に不安があっても入りやすいのは事実です。一般団信への加入が難しい場合には、ワイド団信に加入することも検討しましょう。
ただし、ワイド団信への加入は住宅ローンの金利が上乗せされるのが一般的です。どれほど金利が変わるのかをよく確認したうえで、申し込むようにしましょう。

3.フラット35で団信加入なしで住宅ローンを組む

フラット35を利用して、団信に加入しないという方法もあります。
一般的に、民間の金融機関では団信加入が住宅ローン申し込みの条件です。ですが、フラット35においては団信加入は任意となっており、健康告知なしで住宅ローンを申し込むことができます。

ただし、フラット35では所定の物件検査が必要になることや、団信なしではローン返済に対する保障が一切ないことに注意が必要です。
団信なしでフラット35を申し込む際は、一般の生命保険など何らかの保障を確保しておくようにしましょう。

4.健康状態がよくなるまで住宅購入を待つ

治療真っ最中という方は、健康状態が回復するまで待つのも1つの方法です。
治療によって回復の見込みがある傷病であれば、今は治療に専念し、回復してから住宅購入を考えましょう。

その間に貯蓄を増やしておけば、より多くの頭金を用意できます。頭金が多ければ返済額の負担も少なくできますし、銀行によっては優遇金利を受けられる場合もあるでしょう。

5.配偶者を主たる債務者にする

住宅ローンは、夫婦どちらが申し込んでも問題ありません。
配偶者の収入・健康面ともに問題がなければ、夫婦間で相談したうえで主たる債務者を配偶者にし、住宅ローンを借りるのも一つの方法です。この場合団信の加入・告知は配偶者が対象になるため、あなたの健康状態に不安があっても審査に通る可能性が高くなります。

ただし、共働き前提で住宅ローンを組む場合は、自分が病気で働けないときの保障を考えておかなければなりません。
住宅ローンの主たる債務者を配偶者にしたとしても、自分が働けない場合に家計に影響を与えるのは確かです。万一のことを考えて適切な保障を用意しておきましょう。

なお、住宅ローンは長期にわたる返済になるため、夫婦間でよく検討したうえで判断をするようにしてください。

病気だからといって団信に入れないわけではない

団信に入れない主な原因は、年齢か健康状態です。
特に将来病状が悪化する恐れのある生活習慣病といわれる病気の場合は、審査に通らない可能性が高まります。

ただ生活習慣病だからといって団信に入れないわけではありません。
年齢は変えられませんが、適切な治療で健康状態が改善すれば、加入時の状態によっては審査に通る可能性があります。

告知事項があっても審査に通ることもあるため、今の状況をありのままに正しく告知して、審査を受けてみることが大切です。
万一団信に加入できなくても、前述の「団信に入れない可能性が高そうなときの対処法」があることを忘れないでください。
健康に不安があっても諦めず、自身の状況にあった方法で住宅ローンを検討しましょう。

公開日:2021年06月25日

服部椿

服部椿

金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。 子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン相談が得意。保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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