コロナ禍でも住宅購入は前向きに検討できる!リスク対策について解説

A.M(ファイナンシャルプランナー)

昨今のコロナ禍により、非自発的失業者が急増しています。このような状況の中、住宅購入をためらっている方も多いのではないでしょうか。

※非自発的失業者とは、解雇等の要因で自らの意思に反して失業せざるを得なくなった人のことを指します。

一方で現在、住宅ローンの市場金利は非常に低い水準で推移しており、住宅購入のタイミングとしてはメリットが大きい状況にあります。したがって住宅購入を簡単に諦めてしまうのはまだ早いでしょう。

この記事では、コロナ禍における住宅ローン事情と住宅購入時に考慮すべきリスク対策について解説します。

コロナ禍で住宅ローンの返済相談が急増している

まずはコロナ禍における住宅ローン事情について触れておきましょう。

住宅金融支援機構の報道資料(※1)によると、2020年2月に15件/月だった住宅ローン関連の相談件数が、2020年4月には1158件/月と急増しています。
相談の多い内容としては、「返済期間を延長できるか」「返済額を下げるような手続きができないか」「ボーナス返済を取りやめることはできないか」など住宅ローンの返済に関するものばかりです。
つまりコロナ禍によって、住宅ローンの返済に困窮する人が急増しているのです。

その背景には、完全失業率の上昇と失業者数の増加があります。

下図のグラフを見てみると、完全失業者数は2020年2月から4ヵ月連続で増加しており、2020年5月からは190万人台と高い数値のまま推移していることがわかります。2020年7月時点では196万人と、昨年7月と比べて40万人も増えています。
年齢別で見ると、住宅ローンを借り入れしている世帯が多く含まれている、25歳~54歳の完全失業者数増加が目立ちます。

完全失業者数

出典:「労働力調査 長期時系列データ」より
「a-6 完全失業者【求職理由別】(エクセル:71KB)(2002年1月~)」(総務省統計局)
を加工して作成

完全失業率 年齢階級(10歳階級)別

出典:「労働力調査 長期時系列データ」より
「a-8 完全失業率【年齢階級(10歳階級)別】(エクセル:241KB)(1968年1月~)」(総務省統計局)
を加工して作成

また、完全失業者数の中でも「非自発的失業者」の割合が増えています。非自発的失業者とは、解雇等の要因で自らの意思に反して失業せざるを得なくなった人のことです。

完全失業者数に占める「勤め先や事業の都合」による離職の数値では、2019年7月は8人に1人(182万人中22万人)だったのに対し、2020年7月には5人に1人(196万人中37万人)と急激に増加しています。
求職理由別の下図グラフを見ても、コロナ禍が本格化した2020年2月から「勤め先や事業の都合」による離職が増えていることがわかります。

完全失業者 求職理由別

出典:「労働力調査 長期時系列データ」より
「a-6 完全失業者【求職理由別】(エクセル:71KB)(2002年1月~)」(総務省統計局)
を加工して作成

万が一住宅ローン契約中に失業すると、延滞状態に陥る場合が多いでしょう。延滞状態が長期間継続すると、最終的には所有している住宅を手放さなければならなくなってしまう可能性があります。

しかし、だからといって「住宅を購入するべきではない」と考えるのはまだ早いです。
なぜなら冒頭でも触れたように住宅ローンの市場金利は非常に低い数値で推移しており、住宅ローンを組む人にとって非常にメリットの大きいタイミングだと言えるからです。(※2)

このような状況を踏まえると、コロナ禍の住宅購入は「収入状況の変化に対策しつつ前向きに検討する」が適切なスタンスでしょう。

※1 「新型コロナウイルス感染症の影響で返済困難となったお客さまへの返済方法の変更メニュー及び相談窓口のご案内」(住宅金融支援機構)
※2 「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」(住宅金融支援機構)

コロナ禍で住宅を購入する際のリスク対策とは

コロナ禍で住宅を購入する際は、収入の変動に対してリスク対策が必要です。具体的には下記3つの対策が有効でしょう。

  • 1. 収入減少を見据えて住宅ローンの返済計画を立てる
  • 2. 住宅ローンの繰り上げ返済用貯蓄を準備しておく
  • 3. 保険でリスクに備える

1.収入減少を見据えて住宅ローンの返済計画を立てる

コロナ禍では、収入減少を見据えて返済計画を立てる必要があります。
なぜなら従来以上に、外部要因によって思わぬ収入減少に見舞われる可能性があるからです。

収入減少対策としては、頭金の増額や借入金額の縮小で返済負担率を抑えるのが非常に有効です。
返済負担率とは、年収に占める年間返済額割合のことです。返済負担率が高いと、思わぬ収入減少に見舞われたときに家計が圧迫され、返済不能状態に陥りやすくなります。

つまり返済負担率さえ抑えられれば、たとえ収入が減少したとしても、余裕を持って返済を継続できるということです。

2.住宅ローンの繰り上げ返済用貯蓄を準備しておく

返済負担率を抑えることにより、年収に占める住居費の比率が下がります。その結果家計に余裕が生まれ、住宅ローンの繰り上げ返済用貯金も確保しやすくなります。

万が一収入減少があったとしても、繰り上げ返済で毎月の返済額を減額できれば、予想外の事態にも柔軟に対応できるでしょう。

3.保険でリスクに備える

保険で失業リスクに備えるという考え方もあります。
収入減少対策として一般的に選択されやすいのは、「所得補償保険」でしょう。

しかしながら所得補償保険の補償範囲は病気やケガで働けなくなった場合のみで、雇用主都合の失業は補償対象外となっています。
したがってコロナ禍の雇用主都合の解雇や倒産に対するリスク対策としては、意味をなしません。

そこで注目したいのが「失業信用費用保険」です。

倒産や解雇などで失業した場合、住宅ローンの付帯保険で保険金が支払われる銀行も!

実は、倒産や解雇などで失業した場合に、住宅ローンの付帯保険で保険金が支払われる銀行があります。

その付帯保険は、三井住友信託銀行が2020年11月1日より導入する、カーディフ損保の「失業信用費用保険」です。(※3)
失業信用費用保険は2020年11月1日以降に三井住友信託銀行の「八大疾病保障特約付住宅ローン」で融資実行された方が対象になります。

内容としては、住宅ローン契約者の非自発的失業があった場合に、最長3ヵ月間、住宅ローン返済額と同額の保険金が保険契約者である三井住友信託銀行へ支払われる仕組みになっています。その保険金が住宅ローン契約者の返済に充当されるのです。

住宅ローン契約者と関係者間の相互関係

住宅ローン契約者から見れば、万が一失業してしまった場合でも、住宅ローンの返済が実質3ヵ月間保障されることになります。

失業信用費用保険の利用に際して追加の費用は必要なく、利用者にとってはノーコストで得られる保障です。

また参考情報として、三井住友信託銀行のほかにも下記の金融機関でカーディフ損保の失業信用費用保険が取り扱われています。

【インターネット専業銀行】

  • イオン銀行
  • 楽天銀行

【地方銀行】

  • 関西みらい銀行
  • 紀陽銀行
  • 群馬銀行
  • 七十七銀行
  • 荘内銀行
  • 第三銀行
  • 中京銀行
  • トマト銀行
  • 百十四銀行
  • 北都銀行
  • 北陸銀行

【信用金庫】

  • 京都中央信用金庫

※50音順

失業が不安で住宅購入をためらっている方は、三井住友信託銀行はもちろんこれらの金融機関も選択肢に入れながら、失業信用費用保険の活用を検討するとよいでしょう。

※3 「三井住友信託銀行の八大疾病保障特約付住宅ローンの保障内容の拡大について」(カーディフ損害保険株式会社)

事前のリスク対策でコロナ禍でも住宅購入は前向きに検討できる

記事内でも触れたように、新型コロナウイルス感染症の影響が脅威なのは事実です。しかし、だからといって住宅購入を諦めなければならないわけではありません。
リスク対策さえ考慮しておけば、コロナ禍であっても住宅購入は前向きに検討できます。

特に2020年は、住宅ローン市場の金利が非常に低い水準で推移しているため、住宅購入のタイミングとしてはコスト面で大きな利点があります。
もちろん、将来の金利水準は予測することができません。だからこそ、しっかりと対策した上で住宅購入を前向きに検討するのも1つの選択肢でしょう。

この記事で触れた対策を取っておけば、たとえコロナ禍の影響を受けることがあったとしても、余裕のある住宅ローン返済を実現できるでしょう。
将来の収入変動をシミュレーションしつつ、対策も含めて住宅購入を検討なさってください。

公開日:2020年10月26日

A.M(ファイナンシャルプランナー)

2010年にファイナンシャルプランナー(FP)として独立し、事業を経営中。現在、金融ニュースメディアや損保公式サイトでも執筆活動を行っており、「読みやすく内容の濃いライティング」を得意とする。2級ファイナンシャルプランニング技能士(FP2級)の資格を所有。生命保険、年金、住宅ローン、貯蓄、株式投資など執筆分野は多岐にわたる。

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